セミナー

非線形解析セミナー

タイトル 希薄気体中で見られる流体力学的物理量の特異な振舞いについて
開催日時 2015年9月25日 16:45 ~
主催者
講演者 高田 滋 氏(京大・工)
場所 慶應義塾大学理工学部 14棟 733 (創想館 7階 ミーティング3)
内容 広く知られているように物質には通常,気体,液体,固体の三態がある.固体や 液体では,それを構成する分子同士が互いに絶えず干渉しあっている. 一方, 気体では分子同士は互いにほとんど影響を与えず,衝突という「はちあわせ」に よってはじめて干渉がおこる.この干渉は平衡緩和を考える上で の鍵である. 気体中では分子は音速程度の高速で自由に運動している.このような分子が引き 続いて起こる2つの衝突の間に進む距離(自由行程)は常圧下では大略 0.07マイ クロメートルである.この長さは日常の感覚からすれば非常に短いので,通常の (圧縮性)流体力学を使って常圧気体の振舞いはよく記述 できる. ところが気体が低圧になると,分子の自由行程は気圧に反比例して長くなり日常 の感覚のスケールになる(例えば1万分の1気圧では0.7ミリメート ル).このよ うな低圧の気体は希薄気体と呼ばれ,通常の流体には見られない独特の振舞いを 見せる.よく知られた例に,フーリエの熱伝導則の破れ, ニュートンの応力則 の破れ(連続体記述の破綻),境界面での速度のすべり,温度の跳び,などがあ る.端的にいえば,これらは分子の自由行程が有意 になる結果起こる平衡状態 の破れである.また分子の自由飛行というイメージに重きをおけば「バリス ティック伝導」の典型例ということもできる. セミナーでは,バリスティック伝導の側面をもつ希薄気体中では流体力学的物理 量が勾配発散などの特異な振舞いを見せることを紹介する.
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