セミナー

微分幾何・トポロジーセミナー

タイトル Strong algebraization of fixed point property
開催日時 2015年10月19日 16:30-
主催者
講演者 見村 万佐人 氏 (東北大学)
場所 矢上キャンパス14-733(14棟7階ミーティング3)
内容 有限生成群における Kazhdan の性質 (T) と呼ばれる性質は,群がヒルベルト空間に等長に作用するときに必ず大域的固定点が存在する, という固定点性質と同値であることが知られている.Bader--Furman--Gelander--Monod は,固定点性質のターゲットの空間を他のバナッハ空間のクラスに取り替えた性質を研究した.一般に,与えられた無限群がこれらの固定点性質をもつことを証明することは骨が折れる.その一つの方法が「幾何化」と呼ばれる手法で,ターゲット空間値のスペクトル的数量と閾値の大小比較によって固定点性質を導く(リーマン多様体間の調和写像論に源流がある).この手法は大変強力で現在の固定点性質を示す主流の方法となっている.一方,ターゲットのバナッハ空間の“複雑度”が爆発してしまうような状況(例えば,任意の (1,無限) 上の p に対する L_p 空間たち,など)では原理的に幾何化の手法は適用できない. 別な手法として,Shalom(1999, 2006)により創始・発展された「代数化」がある.これは,部分群たちに関する相対的固定点性質および,群と部分群の代数的な情報から群全体の固定点性質を導出する方法である.この手法は,(相対的固定点性質さえ示されていれば)ターゲットのバナッハ空間の取替えに対してかなり頑強であるという利点がある.しかし,今までの「代数化」では,有界生成(bounded generation)という条件を必ず要請していた.有界生成条件はチェックが非常に難しく,かつ,一般に期待できない.このことが今までの「代数化」の適用上の致命的な痛手となっており,正直なところ最近では「幾何化」に取って代わられ,ある意味で過去の手法とみなされていた印象が否めない. 今年になって,講演者は有界生成条件を全く要請しない“強い代数化”を得ることに成功した.本講演では,上記の背景および,この主結果について,応用例も込めてお話したい.“強い代数化”といっても適用面の用語であって,証明には(関数解析および)バナッハ空間の幾何学を用いる.時間が許せば証明についても述べたい.
資料
URL

PAGETOP