セミナー

談話会

タイトル シンプレクティック多様体上のDirac作用素の指数とその局所化現象
開催日時 2017年11月8日 17:00-18:00
主催者
講演者 藤田 玄 氏(日本女子大学)
場所
慶應義塾大学 矢上キャンパス
14棟631A/B
内容 本講演では、シンプレクティック多様体上のDirac作用素の指数の局所化現象およびそれをDirac作用素の指数理論の枠組みで理解するアプローチについて説明する。

 シンプレクティック多様体上にはシンプレクティック構造と整合的な概複素構造から定まる自然なDirac作用素がある。シンプレクティック多様体Mが前量子化可能、すなわち曲率形式がシンプレクティック形式に一致するようなM上のユニタリ接続付きHermite直線束Lが存在する、と仮定する。このとき、上述のDirac作用素をLの接続でツイストすることができる。Mがコンパクトなときこの作用素の解析的指数が定まり、Riemann-Roch(RR)数とよばれる。

 群作用がある状況下ではRR数はその群の有限次元表現の差の形となり表現環の要素を定める。RR数は幾何学的量子化の文脈で中心的な研究対象であり、例えば量子化(Quantization)とシンプレクティック簡約(Reduction)の可換性を主張する[Q,R]=0型の定理などが古くから研究されている。いくつかの状況で、RR数に関するある種の局所化現象が知られている。これは指数定理の文脈でよく知られている群作用の固定点への指数の局所化ではなく、ある種の格子点への局所化である。例えば、同変RR数がDelzant多面体内の格子点で記述されることを主張する、トーリック多様体に対する古典的なDanilovの定理がある。また、[Q,R]=0型の定理もある種の局所化の描像を示唆する。

 講演前半では、このRR数の局所化現象の概要を述べ、後半ではファイバー束の族を用いたDirac作用素の摂動による指数の局所化理論を用いた上記現象の幾何学的な理解(古田幹雄(東大数理)および吉田尚彦(明治理工)との共同研究)およびその拡張について説明する。
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