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先端数理科学研究センター談話会

カテゴリ 一般向け
掲載日 2025年02月25日
内容 日時:3月12日(水) 15:30~18:00

場所:来往舎中会議室

15:30~16:30 南 美穂子 先生
計数データに対する統計モデルと傾向を過大推定するメカニズム

16:45~17:45 種村 秀紀 先生
亜種の進化モデルについて

アブストラクト
南先生:
計数データ(カウントデータ)に対する代表的な回帰モデルにポアソン回帰モデルや負の2項回帰モデルがある.
しかし,現実には,このどちらでも表せない計数データが数多くある.本講演では、マグロ巻き網漁による
サメの混獲数データの解析を例に、ゼロが過剰に多い計数データに対する回帰モデルを紹介する.
さらに、このようなデータに従来用いられていた負の2項回帰モデルを当てはめた場合、
傾向を過大推定する可能性が高いことを示し、この現象を数理的に解明する.

種村先生:
Ben-Ari と Schinazi (2016) は、「高い突然変異率を持つウイルスのように進化する集団」を研究するための
確率モデルを提案した。このモデルは誕生と死亡の過程を表すものであり、新しく誕生する個体は、[0,1]の範囲で
ランダムに決定される適応度(フィットネス)を持つ突然変異体であるか、または既存の適応度のいずれかを
一様確率で継承する。一方、死亡イベントでは、最も適応度の低い個体群全体が取り除かれる。
我々はこのモデルを修正し、「適者生存」の概念を組み込む。具体的には、非突然変異体の個体が誕生する際に、
適応度の割り当てを優先的選択(preferential attachment)メカニズムに基づかせる。つまり、適応度 f を持つ
個体が誕生する確率は、適応度 f を持つ個体群の大きさに比例するようにする。また、死亡イベントでは、
最も適応度の低い個体のうち1つだけが取り除かれるように変更する。
この優先的選択のルールにより、漸近的な振る舞いが累乗則(パワーロー)に従うようになり、
Ben-Ari と Schinazi (2016) のモデルで得られた指数関数的な振る舞いとは異なる特徴を示す。
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