イギリス9地区の降雨量データ

概要

図1:降雨量データの地域と略称

本解析には,1931年~2015年におけるイギリスの地域ごとの降雨量の日データを用いた.本データはMet Office Customer CentreによってWeb上で公開されている(ダウンロードページ).
データが記録されているのは,北スコットランド・東スコットランド・南スコットランド・北アイルランドとイングランドとウェールズを北西・北東・中央・南西・南東の5地域に分けた計9地域である(本データは今現在も記録され続けている).地域と略称をまとめたものを図1に示す.図に関しては,上記のウェブサイトに掲載されているものを利用した.各地域のデータは,日毎・月毎・季節毎などの集計期間別でそれぞれcsv形式で公開されており,そのうち今回は日毎のデータを用いた.この場合,地域内の観測所で各日にちに記録された降雨量を平均する形でまとめられている.このcsvファイルは1行に年・月・その月の降雨量のデータの33列となっており,存在しない日(2月30日)には-99.99の値が入っている.データを利用するにあたり年・月・日・各地域のデータを列に持つ行列に加工して利用した.

解析に利用したデータ

上記の図のようにこのデータはイギリスの各地域の降雨量を記録したものである.今回利用したのは日次データだが,各データは各地域内の気象観測所で記録されたデータを平均したものである.各地域のデータにおける分位点を以下の表1示す.アメダスの降雨量データにおいても同様であったが,降雨量の場合,極端なデータによって平均が引っ張られてしまい,中央値との差が大きくなりやすい.

表1 各地域の分位点
Min. 1st Qu. Median Mean 3rd Qu. Max.
SEEP 0 0 0.3 2.03 2.39 41.96
SWEP 0 0.04 0.9 2.86 3.91 57.9
CEP 0 0 0.41 1.78 2.21 49.95
NWEP 0 0.06 1 2.8 3.97 51.62
NEEP 0 0.1 0.7 2.17 2.8 60.52
SSP 0 0.11 1.5 3.85 5.51 95.15
NSP 0 0.5 2.49 4.48 6.57 53.5
ESP 0 0.1 0.87 2.15 2.79 54.91
NIP 0 0.16 1.28 2.87 4.1 64.53

ここでは,このデータにおける各地域の相関係数を確認してみる(図2).直感的にも納得できることだが,地域が隣り合っている場合は比較的相関係数は高く,遠距離になれば相関係数も小さくなる傾向がありそうだ.例えばイギリスの降雨量データを可視化する場合,本データは9次元データであるのでこのままでは可視化が難しい.「降雨量の一般化分散」では主成分分析を用いてこのデータを3次元データに落として解析を進めている.

図2 相関係数行列

また,本データのダウンロード元であるMet Office Hadley Centre observations datasetsでは降雨量だけではなく,様々な気象データを提供している.