アメダスの気象データ

概要

「時空間データの相関に基づく日本地図の距離変換」「地点データを用いた周期性の可視化」で扱っている気象データはどちらも,一般財団法人 気象業務支援センターが発行するCDに記録されているデータである.アメダスによるデータは1976年以降に記録されているが,欠測数を考慮した上で期間と観測所を選び,実際には観測所は740箇所,期間は1980~2015年を用いた.図1は観測所の位置を青い点で日本地図上にプロットしたものである. また,表1では各都道府県における観測所数をまとめた.

図1 観測所の位置


表1 都道府県ごとの観測所数
都道府県 観測所数 都道府県 観測所数 都道府県 観測所数
北海道 94 山梨県 8 香川県 4
青森県 14 長野県 21 愛媛県 8
岩手県 28 岐阜県 18 高知県 11
宮城県 13 静岡県 10 福岡県 10
秋田県 18 愛知県 6 佐賀県 3
山形県 12 三重県 6 長崎県 2
福島県 19 滋賀県 6 熊本県 12
茨城県 10 京都府 2 大分県 9
栃木県 11 大阪府 6 宮崎県 9
群馬県 11 兵庫県 11 鹿児島県 17
埼玉県 6 奈良県 4 沖縄県 7
千葉県 6 和歌山県 3
東京都 4 鳥取県 6
神奈川県 3 島根県 11
新潟県 13 岡山県 13
富山県 6 広島県 12
石川県 8 山口県 12
福井県 6 徳島県 5

解析に利用したデータ

観測データのうち,解析に利用したデータは日毎の「最高気温」「最低気温」「平均気温」「平均風速」「最大風速」「降雨量」の6種類である.また,欠測については観測所ごとに サンプルサイズの1%以下になるように期間を調整した(サンプルサイズ13,149日に対して欠測数は150日以下).そのため,利用データの観測期間は1980年~2015年となっている. 各データの分位点を表2に示す.降雨量,最大風速に関しては75%点から大きく外れた値があり,これは豪雨や台風の際の極端な気象現象によるものと考えられる.

表2 各データの分位点
Min. 1st Qu. Median Mean 3rd Qu. Max.
降雨量(mm/h) 0 0 0 4.62 3 713
平均気温(℃) -28.4 4.6 12.7 12.11 19.8 33.7
最高気温(℃) -21.2 9.3 17.7 16.78 24.5 41
最低気温(℃) -37.1 0.1 7.9 7.83 16.1 30.8
平均風速(m/sec) 0 10 15 18.46 23 260
最大風速(m/sec) 0 3 4 4.24 5 48

次に,各データの月平均の推移をプロットしてみる(図2).すると,各データともはっきりとした年周期があることが確認できる. 気温の3つのデータについては毎年同じような周期を描いている一方,降水量・風速に関しては,年ごとにピークがことなっている. また,最大風速については月平均が明らかに上昇している傾向が見て取れる.

図2 各データの月平均の推移

このように,アメダスの気象データには明確な周期性が存在している.上記で見たプロットは1980~2010年の間に観測された日本全国データを まとめて確認したものである.ここで,自然と期間や地域ごとにその周期性やその他の特徴がどうなっているのかという疑問が浮かんでくる. この点については「地点データを用いた周期性の可視化」で取り組んでいるので,興味があれば参照してほしい.