名前 戸瀬 信之
所属・専修 基礎理工学専攻/数理科学専修
学位 理学博士(東京大学)
研究分野 代数解析/超局所解析/偏微分方程式
URL http://www.math.hc.keio.ac.jp/tose/

関数および超関数の性質、特に線型偏微方程式系の(超関数)解の性質を調べる超局所解析を研究している。超局所解析は、超関数の性質を底空間のみならず方向も含めた底空間の余接束上で解析する。フーリエ変換は底空間のx座標の関数をその双対的なξ座標の関数に変換するが、超局所解析は超関数を( x,ξ )を用いて分析する。
超局所解析の手法は、フーリエ解析、関数解析など様々なものと関連するが、私が主に用いているのは佐藤幹夫(京都大学)名誉教授が創始された代数解析である。より具体的には、超関数を正則関数の層を係数とするコホモロジー類としてとらえる佐藤超関数(hyperfunctions)を対象として、古典的な解析の結果、例えば複素領域における線型偏微分方程式に関して基本的なCauchy-Kowalevskyの定理などもホモロジー代数的に定式化して用いている。ここで微分方程式系の一般論であるD加群を用いる。
より具体的な研究対象は、双曲型偏微分方程式の解の性質である。1970年代初頭に、内部問題で偏微分方程式系の特性多様性が単純な場合には様々な問題が解決されている(佐藤・河合・柏原)。私が研究してきたのは、双曲型方程式でも特性多様性が特異性を持つ多重包合的である場合である。その他にも、超局所双曲型方程式の初期値・境界値問題も研究してきた。 最近は、これらの研究で用いてきた第2超局所解析と漸近解析の関連について考察を始めている。