楽々 LaTeX 第2版

               まえがき


『楽々 LaTeX』の初版を出版して, はやくも4 年の歳月が過ぎ去った. この間に, LaTeXの普及は目覚ましく, 理工学の分野の学生や研究者 だけでなく, 様々な分野の人々に使用されるようになった.

初めは小生も舶来の LaTeX がこれほどまでに普及するとは思ってもい なかった. これも日本人の古来からのあこがれといえる 南蛮渡来ごのみの一つなのかもしれないが, まさに驚くばかりだ. TeX や LaTeX の文書整形の美しさだけではなく, 日本語が使用可能な JTeX や JLaTeX の出現が, これらの 文書整形システムを我が国に急速に普及させたといえる. やはり, TeX の日本語版を完成させたアスキーやNTTの人達 が最大の貢献をしているように思われる. 特に, アスキー版は日本語の本格的な縦書きにも対応する pTeX を 完成させ, NTT版はオリジナルな TeX V. 3.14に準拠する JTeX を 作りあげたことは驚嘆に値する. これらの TeX を完成してくれた人達は, 全く利益を度外視して 手弁当でしてくれたことを思うと, 頭が下がる思いがする. また, 本格的な日本語\TeX{}とプリンタドライバを パソコン上に移植して入れた人達の貢献も高いように思う. 当然, この作業に当ってくれていた人達にも TeX に対するKnuth 教授の一貫 した思想が流れているように思う. TeXは明らかにこれらのボランティアの力に支えられ, 発展してきた ものである. これからも TeX に対するボランティアの火を消してはならない ことが, 次の世代に現れる文書整形システムを支援する根幹になる ように思われる.

現在, TeXは新しい局面を迎えている. TeX V. 3.0以降のバージョン からは, 欧米のいくつかの言語に対応するようになった. 当然, LaTeX も同様で, ILaTeX (International LaTeX) が主流であることは言うまでもない. 特に, 従来の LaTeX の機能を強化した, 新しい LaTeX V. 3.0 の開発がドイツのMainz のグループを 中心として行われている. 現在, LaTeX V. 2εと呼ばれる 暫定版が提供されているが, LaTeX V. 3.0 が完成するには, 少し時間がかかるようだ. そこで, Mainzのグループは, V. 3.0が完成するまでの繋ぎとして, V. 2.09やV. 2εなどで利用できるいくつかの 拡張マクロを提供している. なお, LaTeX V.2εやLaTeX V. 3.0の風を感じるには, Goossens et al.の一読をお勧めする. LaTeXingに疲れたときには, 気分転換に 辰濃を読んでみるのもよい.

当初の考えでは, 新しい LaTeX V. 3.0が完成したおりに, 改訂版のことを考えていた. 『楽々 LaTeX』は, 初版と比較すると, 常に改訂版と言ってよいくらい, 本文に修正を加えてきた. しかし, 版を重ねるに従って, 物足りなさ と, いくつかの欠点を本格的に修正したいと考えるようになった. そこで, 今回, 思いきって全面的に変更を加えた第2版を出版することにした. ただし, 大部分の箇所はオリジナルの『楽々 LaTeX』を踏襲している ことは言うまでもない. 小生もいまだ未熟者で, 若い学生や研究者たちに教えられることが多く, 日々の努力の足りなさを痛感している現在である. なにせ浅学の身であるので, これからも皆さんの 御教授を願いたい.

本書は今回も全面的に日本語化された JLaTeX を用いて記述してある. また, 図はすべて `picture' 環境を用いて記述している. 図版の貼込みに関してもいっさい行っていない. LaTeX を使えば, この程度の本は出来上がるというところをみてほしい.

最後に, 草稿を読んで根気よくチェックを入れてくれた 慶應義塾大学理工学部大学院数理科学専攻の稲津隆敏君, 大坪敏昌君, 川北淳平君, さらに計算機科学専攻の阿川典夫君, 安部毅君, 伊藤紀子さん, 小杉尚子さんなどの院生諸君には, たいへんお世話になった. また, 第2版の出版にあたり, 今回も一冊の本を仕上げる過程で お世話になった共立出版編集部の小山透さん, 校正を手伝ってくださった 樋口洋子さん, 昼食を共にしながら いつも貴重なアイデアやアドバイスをいただく 理工学部電気工学科の大野義夫先生にも感謝する次第である. さらに, 本書の成立にあたり, 今まで貴重な御意見をいただいた皆様や御援助を下さった 方々にもあわせて謝意を表したい.

                           1994年5月

                           野寺 隆志


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