Abstract of Chap. 2
量子言語 (= 測定理論 )は次のように定式化される: \[ \underset{\mbox{ (=量子言語)}}{\fbox{純粋測定理論 (A)}} := \underbrace{ \underset{\mbox{ (\(\S\)2.7)}}{ \overset{ [\mbox{ (純粋) 言語ルール1}] }{\fbox{純粋測定}} } \quad + \quad \underset{\mbox{ ( \(\S \)10.3)}}{ \overset{ [{\mbox{ 言語ルール2}}] }{\fbox{因果関係}} } }_{\mbox{ 一種の呪文 (アプリオリな総合判断)}} + \underbrace{ \underset{\mbox{ (\(\S\)3.1) }} { \overset{ {}}{\fbox{言語的解釈}} } }_{\mbox{ 呪文の使い方のマニュアル}} \] すなわち, 二つの呪文("測定(measurement)"と"因果関係(causality)")から量子言語は成る:

このことは、"因果関係"だけからなるニュートン力学と対比すべきことである:

\begin{align} \underset{\mbox{ (物理学)}}{\fbox{ニュートン力学}} = \overset{\mbox{ }}{\fbox{Nothing}} + \overset{\mbox{ (Newtonian equation)}}{\fbox{因果関係}} \end{align}
測定理論(=量子言語)の主張は
(A): (言語的解釈というマニュアルに従って)すべての現象を量子言語 ( 言語ルール1と2)で記述せよ!

この第2章では、言語ルール1 (測定)を説明する。 言語ルール2(因果関係)は第10章で述べる。


また、上で、
  • 何故、ニュートン力学には「測定」がないのか?

と問うかもしれないが、 これはこの講義全体で答えることである。 読者が解答を急ぐならば、 アインシュタインの言葉:
  • 月は、見ていても見ていなくても存在する
がヒントになるだろう。
すなわち、ニュートンもアインシュタインも物理学を完全に理解していて(同じ志向性を持った天才で)、

  • 「測定」が、物理的概念でない

ことを直感していた。



量子力学のヒルベルト空間による定式化はフォン・ノイマン(1903-1957)に拠る。 フォン・ノイマンのこの仕事の重要さは強調してもし過ぎることができないほど重要である。 さて、
  • フォン・ノイマンの量子力学 $\doteqdot$ 量子言語

であるが、このすこしの違い「$\doteqdot$」によって、下図を主張できるようになる。 この意味で、この講義では「$=$」でなくて、 「$\doteqdot$」 の部分を強調することになる。







$\S$1.1で述べたように, 我々の目的は次図を主張することである:
  • 世界記述史の中での量子言語の位置
上図(特に, ⑦--⑨)から、量子言語は次の3つの特徴をもつと言える: $$ \left\{\begin{array}{l} \mbox{ ⑦ :量子力学の標準解釈} \\ \mbox{ $\qquad$ (i.e.,コペンハーゲン解釈の真の姿) } \\ \\ \mbox{ ⑧ : 二元論的観念論 (デカルト=カント哲学)の終着点 } \\ \\ \mbox{ ⑨ : 未来の理論統計学 } \end{array}\right. $$